序文と遍路の知識と情報

第二回〔四国八十八ヶ所〕歩き遍路の旅日記 
お礼参り  一番札所霊山寺  京都市東寺

平成16年10月24日〜12月3日 

遍 路   幸 松  正

                     初めに
 平成12年の弥生三月、初めて「四国八十八ヶ所」歩き遍路の旅に出て、一番札所霊山寺(りょうぜんじ、以後札所は除く)から八十八番大窪寺で結願するまでの37日間、約1200kmを歩いた苦しみを味わって帰宅し、もう二度と遍路の旅には出ないと思ったが、時間の経過と共にその苦しみも薄皮を剥ぐように、一期一会の世界へと毎日幾度と無く四国で出会った人々と、風景が目に焼き付き、その内何時かは、と言う気持ちが芽生えてくるのを抑えようも無かった。
 歩き遍路には閏年に「逆打ち」をするとお大師様に会えるとか、「順打ち」(道案内、標識等は全て右回りの遍路の目に付きやすい様に設置されている)より三倍の功徳があるとかは以前から耳にしていたので、どうせ回るなら閏年の平成16年を逃すと次回は76歳に成るので、体力的にも不可能との判断から、前回は春に出かけたので、今回は秋の逆打ちを実行することに決めた。
 逆打ちの資料として前回四十五番岩屋寺に向かう遍路道で出会った、歩き遍路8度目の東京都の久保田氏が、その後ホームページに掲載した、この時の逆打ちの記録を読み、また「へんろみち保存協力会」が発行した新しい遍路地図を取り寄せてそれを参考に準備万端整え、10月24日朝6時、8キロの荷物をリュックサックに背負い、タクシーで我が家を出てJR新札幌駅から新千歳空港に、それから関空に向けて旅立った。
 夕方の4時には4年半振りに一番霊山寺の山門をくぐり、杖と菅笠等必要な品物を取り揃えて、今夜の宿、二番極楽寺の宿坊に入った。
夕食時、偶然順打ちで帰ったばかりの香川県の伊藤氏に、
「今回逆打ちをするので遍路道の状況を教えて欲しい」
「先日の台風23号で遍路道は各所で寸断されて、逆打ちは特に危険なので順打ちに変更すべき」
との助言を得て、即座に逆打ちを止めて順打ちに切り替えた。

私の歩き遍路必需品と費用
1、遍路用品(最小限)
  白衣(修行の自覚と、着ると目立つので安全着でもある)
  杖(弘法大師の化身で、坂道等の登り降りの必需品)
  菅笠(住民から目に付きやすく、日焼けと風雨を防ぎ、頭にバンダナは汗を吸収してくれる。)
  頭陀袋(納経帖、経本、地図、線香、ろうそく、納札、数珠、持ち鈴、筆記用具等を入れる)
  輪袈裟(首から下げる袈裟)
2、装備、携行品
  リュックサック(容量25Lと防雨カバー)
  ウェストバッグ(デジカメ、磁石、小銭入れ、飴等随時取り出せる小物を入れて腰に下げる)
  ズボン(登山用は伸縮性と速乾性がある)
  ウインドブレーカー(風や小雨時に着る外、遍路が終わった後、上着代わりに着用)
  オープンシャツ(登山用は速乾性がある)
  肌着、厚手靴下(肌着は登山用夏秋夫々2着分、洗濯物は一夜で乾きアイロン、乾燥機不要)
  雨具(上下のゴア・テックス製)
  靴(愛着ある前回履いたトレッキング・シューズの底を張り替えたが結果的には大失敗)
  ヘッドランプ(長いトンネル、夕暮れ時や万一夜の歩行時、寝る際枕元に置くと便利)
  薄手の湯上りタオル(何日も同じ蒲団を使う宿があるので、蒲団の襟カバーとして使う)
  携帯電話(宿の予約と遍路仲間や家族との交信用)
  携帯ウォシュレット(痔の気がある方の必需品)
  非常食(山中を歩く際、カンパン、ビスケット、飲料水等)
  現金(その都度郵便局のカードの利用が便利です)
  その他(薬品、傷用バン、エアーサロンパス、布製テープ、裁縫小道具、洗面具、計算機等)
   以上が今回の主な遍路用品と装備、携行品ですが、前回に購入したものと、以前山登りをしていたので、新たに買った遍路用品は杖と菅笠に持ち鈴、線香等。装備品は携帯電話(プリペード)程度で済んだ。
私の遍路スタイルです

3、費用
  旅費(新千歳空港からバーゲンチケットを利用し、一番霊山寺まで片道2万円で済んだ。帰途は徳島から大阪、京都経由で長女宅の埼玉に立ち寄り、エアドゥで帰り5万円計7万円)
  装備品(菅笠、杖、持ち鈴等 計6千円)
  宿泊費(民宿は6千円強が平均的な値段で、ビール代5百円を加算 計27万円)
  納経代、賽銭(寺に賽銭と納経帖に今回は押印のみだが、一回320円 計3万円)
  その他(携帯電話代、昼食、飲料菓子類、土産等 計10万円) 合計47万6千円


巡 拝 心 得
1、寺の山門前で手を合わせるか又は杖を片手に一礼。境内には本尊(大日如来等)を奉る本 堂と弘法大師を奉る大師堂の二堂が必ず有る。
2、柄杓で多くの人は手を洗うだけです。基本的には口を漱ぐことになっている。
3、まず本堂前のろうそく棚でろうそくに火を灯し、その火で線香3本を香炉に立てる。
4、納め札(住所と姓名等を記入)を納札箱に、10円を賽銭箱に入れ、数珠を手に、持ち鈴を鳴らし、経本を手に持って「般若心経」を読経した後、光明真言(呪文)と宝号   (南無大師遍照金剛)を夫々三度唱える。身内の供養の際は「南無阿弥陀仏」に替える  事がある。
5、大師堂でも3、4と同じ手順を終える。
6、上記の手順を終えた後、納経所で300円を払い、納経帖に毛筆で「奉納、本尊、寺の名前」を書いた後、朱印(今回は二度目に付き朱印のみ)を三個押して貰い一連の行事  を終える。
7、山門を出る際も一礼する。
   以上、私が行った一連の巡拝セレモニーだが、その間約20分前後の時間を要する。


巡 拝 方 法
1、通し打ち(八十八ヶ所の寺を一回で回ることで、四国を右周りに回る事が順打ちで、案内標識は随所に有るが、左周りに回る事を逆打ちと言い案内標識は無いに等しいだけに  難しい)
2、区切り打ち(四国四県を4回に分けて回ることや、好みのルートを数回に分けて回ることで、歩き遍路は区切り打ちが圧倒的に多い)
3、上記の歩き遍路のほか、自転車、バイク、マイカー、タクシー、バス等を利用して上記の方法で回るのが多いが、近年はこの中でもバスツアーが最も盛んで年間数十万人とも  言われている。(因みに通し打ちの歩き遍路は最近増える傾向にあって二千人程度と言  われ、日数は40日から45日が多い)
4、八十八ヶ所の巡拝を終えた後、最初の寺、高野山又は東寺等にお礼参りする人が目立つ。
5、八十八ヶ所を回る目的の遍路は、番外霊場弘法大師ゆかりの修行の場等数多くある が、通常は通り道とか是非見たい場所等に立ち寄る程度です。
6、参考までに宿は民宿(二食付)が圧倒的に多く、時には寺の宿坊や都会ではビジネスホテルを利用するが、何れも事前の予約が必要。


遍路情報は「掬水(きくすい)へんろ館」
 遍路事情に就いて情報を知りたい方は、掬水へんろ館の下記メールアドレスに申し込み下 さい。
 メールアドレス PAF00047@nifty.ne.jp に申し込むと無料配信され、URLを開くと、遍 路に関するあらゆる情報が記載されているので便利です。


遍路地図は「へんろみち保存協力会」
 詳しい遍路地図を求める場合は「へんろみち保存協力会」電話・FAX089−951−2506に連絡願います。別冊地図編 2500円

では24日我が家を出るシーンを、25日からは一番霊山寺から八十八番大窪寺と、お礼参りの一番霊山寺から京都市東寺までの歩き遍路の旅日記をご期待下さい。
平成17年10月23日
幸 松  正