南国の風景と暖かさに心もなごむ

平成16年(2004)
10月
24日 日 快晴 20℃ 新千歳空港関空―淡路島(洲本)―JR鳴門駅―JR板東駅―一番霊山寺(りょうぜんじ)―鳴門市二番極楽寺宿坊 6700円 阿波(徳島)入り
 6時、薄暗い中、家の前で写真を撮った後、タクシーで新札幌駅に向かう。予想以上に早く着いたので6時13分の電車に乗って新千歳空港に向かったが、早朝にかかわらず乗客はほぼ満員だった。空港でのチェックインを終えて、荷物検査で何れも8センチ程のナイフと鋏がX線に写ったので没収される羽目になり、関空で受け取ることになった。
空港待合室でテレビを見ていると昨日の新潟地震の模様が映し出されていたが、予想以上の被害となる様で、冬を迎えての罹災者の生活が案じられる。
定刻離陸間もなく恵庭岳と樽前山に挟まれた支笏湖から真ん丸いクッタラ湖に目を転じると、その向うに羊蹄山が見え、室蘭の白鳥大橋もはっきり目に入り、噴火湾を挟んで駒ケ岳が間もなく視野に入る。津軽海峡に入った辺りから雲海に入ってしまった。機内サービスの缶ビールを呑みながらエンジンの快い振動に身をゆだねる。関空に近付くに従い快晴となり、四国の山々が目に飛び込んできた。吉野川徳島空港を横目に見ながら、大きく旋回して関空に着陸したのは10時10分だった。
先に没収されたナイフと鋏を受け取り、ボーダーフォンの店を探して、携帯電話のボタンを幾ら押してもONに成らないので見てもらったところ、知らぬ間にパワーボタンを押して電源がOFFに成っていただけのお粗末な話だった。早速次女に今着いた事を伝えるべくボタンを押して耳に当てても反応がないので、調べて貰ったところ発信ボタンを押していないことが判った。出かける前に次女に一通りの扱い方を教わったが、何時もの早合点で何も頭に入っていなかったことだ。また後生大事にビニール袋に電話機を入れていたら着信が判らないと言われて、袋から出してポケットに入れた。古稀を過ぎるとメカに弱くなるものだと他人事のように思っていたが、まさにその年頃なのだと実感した一瞬だった。
空港から洲本行きの船着場までバスで行き、11時50分発の快速船に乗り込み洲本に向かう。淡路島に近付くに従い前回津名行きの船から眺めた巨大な白亜の観音像が木々に囲まれて小さい姿で目に入り、4年前に見た時の感慨を新たにした。洲本港に着きターミナルビルの食堂でライスカレーを食べ、地元の新聞を見ながら鳴門行きのバス時間までの時を稼ぐ。外に出ると辺りの風景は如何にも南国そのもので、椰子の木に似たようなものから、棕櫚の木のような物まで異国に来た感じがした。
鳴門行きのバスに乗って鳴門大橋を渡ると左右に渦潮が目に飛び込んで、その周囲を観光船が数隻漂っていた。
JR鳴門駅前棕櫚の木?さすが南国ダー

鳴門駅前で下車し坂東行きの電車を待つひと時、駅前の風景をカメラに収めたが、空の青さと南国特有の木々の緑が今四国に居る実感を目に焼き付く。鳴門では競艇が盛んで駅構内では前回同様多くの人が新聞の予想表を見ていた。3時31分発で途中池谷駅で高松行きに乗り換え坂東駅で下車。
一番札所霊山寺に向かう道筋は日曜日で閑散としていたが、前回泊った民宿阿波のお婆ちゃんが声を掛けてくれたが丁重に断って間もなく霊山寺に着く。道を隔てての佇まいは全く変わっていなかった。
先ず山門前で手を合わせてご無沙汰を謝し、口と手を柄杓で濡らす。池の鯉に心なしか懐かしさを覚える。本堂で久しぶりに一連の読経の後、靴を脱いで納経所と売店を兼ねたところで、新たに菅笠と杖に納経用紙と持ち鈴等を購入(5985円)する。前回の時の遍路ノートを出して貰い結願を確認し、今回の新しい遍路ノートに住所名前等を記入したところで、今回は逆打ちの話をすると逆打ちの人は余り居ないので、頭に(逆)と記入するよう催促されたので改めて(逆)と記入する。帰り際納経帖に記入した人と、売店のおばちゃんに12月3日前後には必ず来るから顔を覚えてくれと、笑いながら顔を見せた。本堂を出ると初々しい若い二人が遍路の道順を聞いて来たので、前回の失敗から学んだ、必ず「へんろみち保存協力会」の地図を信ずる様教えて送り出した。
今夜の宿、二番極楽寺までは歩いて15分足らずだが、山手側に高速道路が通り国道も歩道部分もすっかり整備されていた。宿坊に入ると下駄箱に「K様」と書かれた立て札があるのには参った。玄関で北海道の普門バスの運転手が、「どちらから」の問いに「北海道」と答えると、
「今日北海道の巡拝客25人と東京の人を乗せてここに着いたばかりだが、明日から八十八番全部回るので何れ何処かで会うのを楽しみにしている」
と言ってくれた。宿坊の人に部屋に案内され、荷物を肩から腰から下ろしてホッとする。早速風呂に入ると大の男4人も入ると満杯状態で身体をすくめながら何とか入ったが二人は直ぐ出て行った。
夕食を食べているところに、昨日結願して明日のお礼参りに遍路から戻ったばかりの人が、同じテーブルに付いたので、前回足摺岬で写した写真付きの名刺を渡したところ、珍しがって見ていたので、その名刺に今回は逆打ちと書いてある部分を見せて、歩き遍路二度目のIT氏(香川県出身71歳)から台風23号の影響を聞いたところ、
「八十七番から八十八番に掛けての山道が通行不能で、その他至るところ道が寸断されているので、逆打ちは危険で順打ちに切り替えるべき」
との助言を頂戴したので、食後部屋の戻り明日の八十窪と明後日の大磯旅館をキャンセル、十楽寺と鴨川町の三笠屋を手配した。東京KK氏にも電話で、逆打ちから順打ちに切り替えた話をしたところ、彼も逆打ちの危険をメールで我が家に知らせていたとのこと。思いは同じだった。我が家にも同じことを伝えると安心した模様で「くれぐれも気を付けて」とのこと。
日本シリーズ第六戦は西武和田の二本のホームランで、中日との優勝決定を明日に持ち越したが、こうなると試合巧者の西武が優勢か。
10時過ぎまで掛って今日一日の日記を書き終え、蒲団に入ったが二度目の遍路とあって、また順打ちに切り替えて安心したこともあり眠りに就くのも早かった。